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Difyで本当にAIチャットボットを作ってみた。初心者がぶつかった「3つの壁」と、その越え方

「Difyというツールを使えば、プログラミングなしで自分専用のAIが作れるらしい」

そう聞いて登録はしてみたものの、画面を開いた瞬間に手が止まってしまった——そんな経験はありませんか。

実は私も、まったく同じところでつまずきました。そこで今回は、実際に**「セミナーの申込チャットボット」を自分の手で作ってみた体験**を、包み隠さずお伝えします。

この記事を読むとわかること:

  • Difyで実際に何を作れるのか、具体的な完成イメージ
  • 初心者が必ずと言っていいほどつまずく3つのポイント
  • そのつまずきを、どう回避すればいいのか

きれいな成功談ではなく、「ここで詰まりました」という実感のこもった話なので、これから触ってみたい方の遠回りを減らせるはずです。


まず、何を作ったのか

私が作ったのは、自分のAIセミナーの「受付係」をしてくれるチャットボットです。

利用者がチャットで話しかけると、次の3つを自動で判断して答えてくれます。

  1. 「料金はいくらですか?」といった内容の質問 → セミナー資料をもとに回答
  2. 「申し込みたいです」という申込の意思表示 → 名前・メールアドレス・希望日を順番に聞き取り
  3. 「今日は暑いですね」といった雑談 → 感じよく応じつつ、セミナーの案内に自然につなげる

制作時間は、およそ1時間半。コードは1行も書いていません。

そして正直に言うと、そのうち30分近くは「うまく動かない理由がわからない」時間でした。その30分の中身こそが、今日いちばんお伝えしたいところです。


壁その1:「どのタイプで作ればいいの?」問題

Difyでアプリを作ろうとすると、いきなり選択を迫られます。「チャットボット」「チャットフロー」「ワークフロー」「エージェント」——似た言葉が並んでいて、初心者にはまず、この時点で選べません。

覚えるのは、たった2つでいい

結論から言うと、最初は2つだけ覚えれば十分です。

チャットフローは、会話しながら進むタイプです。相手の返事を受けて次の質問をする、という往復のやりとりに向いています。受付・相談窓口・問い合わせ対応はこちらです。

ワークフローは、入力して、処理して、出して終わりのタイプです。会話はしません。「テーマを入れたらSNSの投稿文が出てくる」「議事録を入れたら要約が出てくる」といった作業の自動化はこちらです。

私は受付係を作りたかったので、チャットフローを選びました。

つまずかないコツ

「相手と会話する必要があるか?」だけで判断してください。 会話が必要ならチャットフロー、必要ないならワークフロー。これだけで、最初の関門はほぼ突破できます。

ちなみに、初めて触る方にはワークフローのほうがおすすめです。入力と出力が一直線で、どこで何が起きているかが目で追いやすいからです。会話タイプは、後述する「記憶」の設定が絡んでくるぶん、少しだけ難易度が上がります。


壁その2:資料を読ませたのに、答えてくれない

Difyの一番の魅力は、自分の資料を読ませたAIが作れることです。この仕組みをRAG(ラグ:AIに手持ちの資料を参照させながら答えさせる仕組み)と呼びます。

私も、セミナーの案内文をテキストファイルにして読み込ませました。ところが最初のテストで「料金はいくらですか?」と聞いたら、返ってきたのは——

「セミナーの料金については、担当者にご確認ください」

資料には「3,000円」とはっきり書いてあるのに、です。

原因は、たいてい「つなぎ忘れ」

調べてわかった原因は、拍子抜けするほど単純でした。資料を登録しただけで、AIに「その資料を見なさい」と渡していなかったのです。

Difyでは、資料の置き場(ナレッジ)と、答えを作るAI部分が別々の部品になっています。資料を登録しただけでは、AIはその存在を知りません。「資料を探す部品」を置いて、その結果をAIに渡す——この接続をして、初めて資料が使われます。

料理でたとえるなら、冷蔵庫に食材を入れただけで、シェフに「冷蔵庫を見てね」と伝えていなかった状態です。シェフは何も知らないまま、手持ちの知識で適当に作ってしまいます。

つまずかないコツ

うまく答えてくれないときは、次の順番で確認してみてください。

  1. 資料を探す部品を置いたか(置き忘れがいちばん多い原因です)
  2. その結果を、AIに渡す設定にしたか
  3. 資料の中に、その言葉が本当に書いてあるか(「料金」と聞かれても、資料に「参加費」としか書いていないと、うまく見つけられないことがあります)

3つめは意外な盲点です。読ませる資料は、想定される質問と同じ言葉づかいで書いておくと、精度がぐっと上がります。


壁その3:さっき言ったこと、忘れてる

いちばん驚いたのがこれです。申込の受付を試したときのやりとりが、こうなりました。

AI「お名前を教えてください」 私「山田太郎です」 AI「お名前を教えてください」

はい、と答えたのに、また同じことを聞かれる。永久ループです。

原因は「記憶」のスイッチ

これも設定ひとつでした。AIに文章を作らせる部品には、「メモリ」(それまでの会話を覚えておく設定)という項目があり、これが初期状態ではオフになっていたのです。

オフの状態だと、AIは毎回「初対面」として振る舞います。前の発言をまったく覚えていないので、何度でも同じ質問を繰り返してしまう、というわけです。

つまずかないコツ

会話が続くタイプのアプリを作るときは、メモリを必ずオンにする。 これだけ覚えておけば大丈夫です。

逆に、1回きりの処理(要約や翻訳など)では、オフのままで問題ありません。むしろ余計な履歴が混ざらないぶん、結果が安定します。


初心者でも今すぐできること

体験を踏まえて、遠回りしない進め方を3つ、難易度の低い順にご紹介します。

1. まずは「会話しないアプリ」を1つ作る(30分)

いきなりチャットボットを作らないでください。入力して、出力されて終わりのシンプルな仕組みから始めるのがおすすめです。

たとえば「文章を入れたら、やさしい言葉に書き直してくれる」だけのアプリ。部品は3つ(入力・AI・出力)で完成します。まずここで、部品を線でつなぐ感覚を体に入れてしまいましょう。

2. できあがった見本を、そのまま動かす(30分)

Difyには完成済みの見本(テンプレート)が数多く用意されていて、選ぶだけですぐ動かせます。2026年に入ってからは、他の利用者が作った仕組みを探して取り込める仕組みも整ってきました。

大事なのは、ゼロから作ろうとしないこと。完成品を触って中身を覗くほうが、説明を10回読むより早く理解できます。

3. 自分の資料を1つだけ読ませて、3回質問する(1時間)

手持ちのPDFやテキストを1つだけ選んで読み込ませ、実際に質問してみましょう。

このとき、うまく答えられなかった質問をメモしておくのがポイントです。その1つ1つが、「資料の書き方をどう直せばいいか」を教えてくれます。私の場合も、資料の見出しを質問されそうな言葉に書き換えただけで、答えの精度がはっきり変わりました。


使う前に知っておきたいこと

念のため、注意点も2つだけ添えておきます。

1つめは、お客様の個人情報や社外秘の資料の扱いです。 業務で使う場合は、必ず会社のルールを確認してからにしてください。

2つめは、最終確認は人が行うという前提です。 資料を読ませても、AIが誤って伝える可能性はゼロにはなりません。特に金額や日程など、間違うと困る情報は、人の目を通す運用にしておくと安心です。


まとめ

今日お伝えしたことを、3点に整理します。

  1. アプリの種類は「会話が必要か」だけで選ぶ。 必要ならチャットフロー、不要ならワークフロー。最初はワークフローから始めるのがおすすめです。
  2. 資料を読ませても答えないときは、たいてい「つなぎ忘れ」。 資料を登録しただけでは、AIはその存在を知りません。
  3. 会話が続くアプリでは、記憶(メモリ)を必ずオンに。 同じ質問を繰り返すときは、ここを疑ってください。

つまずいたポイントを3つ並べましたが、裏を返せば、この3つさえ知っていれば、初心者でも1時間半で動くものが作れるということでもあります。

そしてもうひとつ。実際に作ってみて強く感じたのは、「うまく動かない理由を探す時間」がいちばんの勉強になるということでした。動かない原因を1つずつ潰していく過程で、その仕組みが何をしているのかが、自然と腑に落ちてきます。

まずは部品3つの、いちばん簡単なものから。今週末の30分を、そこに使ってみませんか。

当ブログでは、これからもAI初心者の方に向けて、実際に手を動かせる情報をお届けしていきます。ぜひまた覗きに来てくださいね。