AIで作ったものに「AI製」と書く時代へ。2026年8月に始まった新ルールを初心者向けにやさしく解説

「この写真、本物かな? それともAIが作ったのかな?」

SNSを見ていて、そんなふうに迷ったことはありませんか。最近は本物と見分けがつかない画像や動画が当たり前のように流れてきますよね。

実は2026年8月2日から、ヨーロッパでこの「見分けがつかない問題」に正面から向き合う新しいルールが始まりました。ひとことで言うと、「AIが作ったものには、AIが作ったとわかる印をつけてください」というルールです。

「ヨーロッパの話でしょ、私には関係ないのでは」と思われたかもしれません。でも、この流れは確実に日本にも届きます。そして、AIを使って資料や投稿を作っている方には、今日から意識しておくとよいことがあります。

この記事を読むとわかること:

  • ヨーロッパで何が決まったのか(むずかしい言葉なしで説明します)
  • 日本ではどうなっているのか
  • AIを使う私たちが、今日からできる3つのこと

そもそも何が決まったの?

2026年8月2日から、EU(ヨーロッパ連合。ヨーロッパの国々が集まった団体のことです)で「AI法(エーアイほう)」という法律の一部が本格的に動き出しました。

そのなかでも今回スタートしたのが「透明性(とうめいせい)のルール」と呼ばれる部分です。透明性というと難しく聞こえますが、意味はとてもシンプルで、「かくさずに、正直に伝えてくださいね」ということです。

具体的には、次の4つの場面で「これはAIですよ」と伝えることが求められるようになりました。

1. 本物そっくりの画像・音声・動画(ディープフェイク)

実在する人や場所、出来事にそっくりな画像・音声・動画をAIで作った場合は、「これはAIが作ったものです」とわかるようにする必要があります。

たとえば、有名人がしゃべっている風の動画をAIで作って、そのまま何も書かずに流す——というのはNGということです。

2. 話し相手がAIのとき

チャットで質問に答えてくれる「チャットボット(自動でおしゃべりしてくれるプログラム)」や、AIのアバター(画面の中のキャラクター)とやりとりするとき、「今、あなたが話しているのは人ではなくAIです」とはっきり伝える必要があります。

お問い合わせ窓口だと思って相談していた相手が、実はAIだった。そういうモヤモヤをなくそう、という考え方です。

3. みんなに関わる情報をAIが書いたとき

ニュースのように「世の中の人に知らせるための文章」を、人のチェックなしにAIだけで作って公開する場合も、その旨を示す必要があります。

4. 表情や体の特徴からAIが判断するとき

カメラで顔を見て「この人は今こういう気持ちだな」と判断したり、体の特徴で人を分類したりする仕組みを使うときも、使われている本人に伝えることが求められます。


「印をつける」って、具体的にどうするの?

ここが少し面白いところで、EUは**専用のアイコン(絵のマーク)**まで用意しました。誰が見ても同じ意味に受け取れるよう、統一のマークを使いましょう、という発想です。

さらに、目に見える表示だけでなく「機械が読み取れる印」も求められています。これは、画像や音声のデータの中に「AI製です」という情報を埋め込んでおく仕組みのことです。人の目には見えませんが、対応したアプリやサービスが読み取れば「これはAIが作ったものだ」とわかる、いわば見えない透かしのようなものですね。

なお、罰則もかなり本格的で、違反すると最大で1,500万ユーロ(日本円でおよそ25億円前後)か、世界全体の売上の3%のどちらか高いほうという金額が示されています。ただし、小さな会社には規模に応じた配慮をする、ともされています。

つまり、「AIかどうかを隠さない」ことが、正式なルールとして決められたということです。


日本ではどうなっているの?

ここは正直にお伝えしますね。

日本には現在、「AIで作ったものにAIと表示しなさい」と義務づける法律はありません。

日本でも2025年に「AI推進法(AIすいしんほう)」という法律ができました。ただしこの法律は、AIの活用をうしろから応援することが中心で、罰則をともなう強い義務は設けていません。「まずは使いやすくして、日本のAI活用を伸ばそう」という考え方の法律です。

一方で、世界に目を向けると流れははっきりしています。中国ではすでに2025年9月からAI生成コンテンツへの表示が義務化され、韓国もAIで作った広告への表示を求める方向で動いています。

日本だけがずっと例外でいられる、とは考えにくい状況です。そして何より大切なのは、法律で決まっているかどうかより先に、お客様や読み手からの信頼ではないでしょうか。


初心者でも今すぐできること3つ

では、AIを使っている私たちは何をすればよいのでしょうか。難しいことは必要ありません。今日からできることを3つ、やさしい順にご紹介します。

その1:AI画像を使うときは、ひとこと添える

いちばん簡単で、いちばん効果があるのがこれです。

ブログやSNSにAIで作った画像を載せるとき、キャプション(画像の下の説明文)に「※画像はAIで生成しました」と一行入れるだけ。たったこれだけで、読んだ方は安心できますし、「この人は正直な人だな」という印象にもつながります。

隠すとリスクになりますが、先に言ってしまえば、それはむしろ誠実さの証明になります。

その2:「実在の人そっくり」は作らない・使わない

AIで画像や音声を作るとき、実在する人物にそっくりなものは作らない。これを自分ルールにしておくと安心です。

有名人の顔、知り合いの声、実際にあった出来事の再現。こうしたものは、たとえ悪気がなくても、受け取った方にとっては「本当にあったこと」に見えてしまいます。今回のルールがいちばん厳しく見ているのも、まさにこの部分です。

架空の人物やイラスト風の絵にしておけば、そもそもこの心配はいりません。

その3:AIに書かせた文章は、必ず自分で読んでから出す

これはルール対策というより、ご自身を守るための習慣です。

AIが書いた文章には、たまに事実とちがう内容が混ざります。数字が違っていたり、存在しないサービス名が出てきたり。人のチェックなしにそのまま公開してしまうと、間違いがそのまま自分の発信として残ってしまいます。

「AIに下書きしてもらって、自分が仕上げる」。この順番を守っていれば、それは立派にあなたが書いた文章です。堂々と出して大丈夫ですよ。


まとめ

今回のポイントを3つに整理しますね。

  1. 2026年8月2日から、ヨーロッパで「AI製のものにはAIと示す」ルールが本格スタートしました。 対象は、本物そっくりの画像や動画、チャットの相手がAIのとき、など4つの場面です。
  2. 日本にはまだ表示を義務づける法律はありません。 ただし中国や韓国はすでに動いており、世界の流れは「隠さない」方向にはっきり向かっています。
  3. 私たちが今日からできるのは、とてもシンプルなことです。 AI画像には一行添える、実在の人そっくりは作らない、AIの文章は自分で読んでから出す。この3つで十分です。

AIを使うことは、まったく後ろめたいことではありません。むしろこれからは、「AIを上手に使っていて、しかもそれを隠さない人」が信頼される時代になっていくはずです。

まずは次にAI画像を使うとき、「AIで生成した画像です」の一行を添えてみてください。それがいちばん小さくて、いちばん確かな第一歩になります。

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